複雑で多様化する現代。店内は、アンティークな家具、庭には癒し度の高い空間(パワースポット)が広がっているお店です。冬は暖炉に癒されます

快楽的隠遁

タウンわたらせ第104号6月19日(土)掲載

 車中、香水の匂いがただよう。目を助手席に流すと、薄い布からはみ出しそうな白い 乳が目にとびこむ。下は臍あらわなる腹部が露出(目が潰れてしまいそう)。
当店 シェフ、ジュリア女の出勤風景。いや、確かに、ナイスバディーなのだが、なにしろ 時節、早春の頃であった。「風邪を引くのでは!」とひたすら心配。(しかしアトラ クティブではある!)「キミサムクハナイノカ?」「ワタシハワカイカラダイジョウ ブヨ」「ボクハキミヲミテイルトヨケイサムクナル!」「トシヲトルトミンナソウデ スネ」。この頃、ひとしお布の表面積が小さくなったような気がする。
先日は体の後 は網であった。私は思わず「マエトウシロヲイレカエタラワタシハウレシイ!」 「ダーメヨ、ソレハせくはらヨ」と注意をうけた。彼女は美女、ハイ・アイキューの 持ち主、料理が得意で、しかも手早い。店で購読せしファインクッキングをザット見 て、材料を自分で調達し、すばやく試食品を創る。ジュリア女と家人、私をまじえそ の料理を前に、グラスにドライなワインをそそぎ一時の品評談義に入る。
じつは、彼 女、この頃、遭遇せし隠遁者の細君。同輩の隠者は足利在、日本生。若くして渡米、 南部のハーバードと云われるノースカロライナの名門校ディユーク大学を卒業、以来 三十年世界を舞台に「ヘッドハンティング」「投資」を主たるビジネスとして蓄財、 一人暮しの母親の介護の為、久方ぶりに故郷、日本の土を踏み、日本人の変わりよう に腰を抜かさんばかりに驚いたと言う「今様浦島太郎」のごとき人物。
会うたびに 「古きよき日本は何処へいってしまったのか相場さん?僕は哀しい!」とワインをす すり、嘆くことしきりなのである。二百年の旧家に住み、時にニューヨーク、カル フォニアに出掛け、平生、古庵にてパソコンを駆使、インタナショナルなビジネスに はげみ、金を集める。
葉巻、古庵、世間を斜に見る視点、極東のこの地を世界の田舎 と見立て、隠者生活に、どっぷりとつかっているのである。コイーバ、ワイン、極東 の端所の草庵と云うキーワードゆえに私と波長が合う。細君ジュリア女は異国の地に て、このカフェレストランを気に入り加勢する事になる。