タウンわたらせ第105号6月26日(土)掲載
飛駒は、見回す限り山の囲まれた、程よき広さの盆地にて、周辺の他の地に生じた集 落より明るい。カフェは正にその盆地、中央に存する。広き敷地の周囲、木々育ちて 林をなし涼風は訪れる人を癒す。また、この地、すり鉢の底ゆえに、気功家はオゾン 効果「いやしろち効果」に優れていると言う。
飛駒川は盆地の中央を南北にはしる。 黒沢、寺沢より水を集め村落の半ばで覆水となり出原に湧きだすのである。「日本百 名水」の一つとして知られる。飛駒の水はこの名水の源、甘露である。東京、埼玉、 関東各周辺よりカフェを訪れし人まずこの水を飲み、一様に「美味しい!」と驚く。
コーヒーは味の切れがよくなる。最近では盆地の高台にモノ作りの新天地を求めて集 まりくる人が増えた。飛駒の自然が織なす「やわらかさ」ゆえかと思う。をである。
店を開くにあたりパソコン習得に挑戦した。ここは、極東奥地に存する草深い田舎で ある。ホームページで店の魅力を掲載しなければ訪れる人はない。パソコンの入力に は貿易の仕事で長年英文タイプを使用していた事が役に立った。しかし、パソコンの 概念、Webページの作成、画像処理等を習得するのに悪戦苦闘をした。パソコンやソ フトに付属するマニアルを読んでもさっぱりわからない。読むほどに謎はふかまるば かりであった。
日本語で記述してあるが、その意味するところが理解できない。何度 も挫折を繰り返しながらも、書店で、理解可能な解説書を求め、片っ端から読んで、 試して、この頃ではようやく「パソコン自由自在」となった。
ザ・グレートスモー キー・マウンテン山麓に散在する、ヒルビリーなヴィレッジの雰囲気を色濃く漂わせ る、この店を慕い、ブルーグラスやカントリーミュージックを演奏する人達も集まる ようになり、春秋の演奏会は、私の楽しみの一つとなり、草庵も賑わいを得てきた。 料理は、「広き世界より、入手可能な食材の持ち味を生かせる料理を、我等独自のス タイルで確立したい!」とかなり大胆なことを考えるようになった。事さような次第 で隠遁生活、カフェレストラン経営と、二束のわらじを履き、老犬、愛妻よう子と極 東辺地の狭き世界に留まり、脳裏から次第に忘れ行く文明世界の中心「パリの街」を 恋しく思う、今日この頃となる。